IWC IW371605 ポルトギーゼ クロノグラフ
IWCは1868年にスイス・シャッフハウゼンに誕生した時計メゾンで、それまでの伝統的な時計産業の中心から外れて、ドイツ国境近くの町に生まれ、創業者はアメリカ人のフローレンス・アリオスト・ジョーンズで、設立後ほどなくドイツ資本に買収されてドイツ的な色彩が強いメゾンとして発達してきました。
どちらかというと、高級実用時計といった立ち位置で、20世紀初頭には電磁波に強い耐磁時計や第二次大戦中にはパイロット向けの時計なども開発してきました。
ポルトギーゼもそうした流れのコレクションの一つで、オリジナルは1939年に大きくても良いので精度に優れた時計をポルトガル人から依頼されて、懐中時計のムーブメントを組み込んだモデルを制作したのが始まりと言われています。ケース径が40mmを超えるという当時としては相当に大ぶりの時計でした。
ずっと時が流れて、20世紀の終わり頃、機械式時計の復興の流れの一つにデカ厚時計ブームというものが興り、例えばパネライなどもそうした流れの中で登場したブランドですが、ポルトギーゼもその流行の牽引車の一つといっても良いでしょう。
現在では単に大きな時計というだけではなく、パーペチュアルカレンダーやリピーターといった複雑機構を組み込んだモデルもあって、IWCの技術力アピールをするモデルにもなっています。
今回のポルトギーゼ クロノグラフ IW371605は、2019年にマイナーチェンジしたコレクションで、ムーブメントを自社製のCal.69355に置き換えています。このムーブメントはIWC自社製のキャリバー69000シリーズの要となるクロノグラフムーブで、伝統的なコラムホイールデザインに、ペトラン式自動巻き機構と同じく爪を使用しています。
ジュビリーコレクションのポルトギーゼクロノにもこのCal.69355を積むようで、このムーブにかけるIWCの期待の大きさがわかります。
今回のIW371605は、ムーブ変更に伴い、裏蓋はシースルーになり、魅力をアピール。ケース径は41mmという大きさでありながら、エレガントにまとまっていて、間延びした印象もなく、魅力的な仕上がりですね。
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